笠松競馬場「第10回オグリキャップ記念」観戦記

笠松競馬場 2001年4月30日開催


はじめに

笠松競馬場といえばオグリキャップの故郷である。 しかし、私はオグリキャップのレースを観ていない。
オグリキャップの活躍当時はそれほど競馬に関心があった訳でもなかったこともあるが、元来天の邪鬼な私は人気のあるオグリキャップを たかだか1頭に大騒ぎして、と冷ややかな思いで見ており、レースを観ようとしなかったからである。
このため、笠松競馬場のことも全く知識がないも同然であった。 岐阜の山奥にある競馬場とばかり思っていたのが正直なところである。
NHKTVドラマの「オグリの仔」などを見て笠松競馬場を再認識し、一度行ってみるかと思ったのが一昨年。
園田・姫路競馬からの出走馬もおり、騎手と競走馬の応援がてらに観に行くことにしたのが今回の第10回オグリキャップ記念という訳である。


園田・姫路競馬の出走馬は?

園田・姫路競馬でも99年のサラ導入により身近となったダートグレードレース。
園田・姫路競馬所属馬も昨年から他場に遠征するようになってきたところである。
ちなみに今回のオグリキャップ記念は初めての古馬のダートグレードレースの遠征で、 出走が予定された馬はダイトクヒテンとマッキードリーム。 2頭も出るんだからと思っていたら、直前でマッキードリーム回避で、たった1頭の出走と寂しい限り。 ダイトクヒテンもJRAで勝ったというものの獲得賞金など明らかに笠松競馬所属馬に見劣っており、掲示板入りも無理やろなあというのが 正直なところ。


笠松競馬場への道

自宅の尼崎から笠松競馬場までは意外と近い。
JR東海道線で大阪8時発の長浜行き新快速に乗る。連休中だが車内はガラガラ。 京都を過ぎた辺りからうたた寝しているうちに米原へ。
ここで豊橋行き快速に乗り換える。関西では見ない車両。
新幹線では何度も越えている関ヶ原を初めて在来線で越える。 昨年関ヶ原合戦400年で歴史もの好きの私としては古戦場巡りをしたいところであるが、もちろんそのまま岐阜へ。
10時15分には岐阜に到着。
岐阜といえば岐阜城の街。長良川温泉街には職場の慰安旅行などで来たことはあるが、市街地に足を踏む入れるのは初めてである。 金華山は駅から良く見え、その頂上付近に岐阜城の姿も見えるが、見に行っている時間などないので、観光全くなし。
再開発のためかやたら広いJR岐阜駅から名鉄新岐阜駅まで徒歩5分足らず。
駅窓口で、競馬場で運賃返金サービスがあるので、笠松競馬場までの往復切符を買う。
名鉄に乗るのは初めてだったので、行き先が全くわからなかったが、大抵の列車が競馬場のある笠松駅を通るようで、急行に乗り込む。
車内の吊り広告で公営競技が目立ったのはさすがギャンブルの東海圏。 車内の客も既に競馬新聞を読むおっちゃんの姿が多い。
名鉄本線の急行で笠松駅まで5分ほど。のんびり走る電車かと思ったら途中で案外スピードを出し、これまた近い。
笠松駅に着いて私が正面の改札に出ようとすると、ここで下車したおっちゃん連中はみんな駅の南端の改札へ出て行く。
ついて行った方が無難と思い、集団の後を追うと、駅を出てから駐輪場の中を通ったり狭い路地を進んで行く。 えらい所を通るなあと思っているうちに車道をわたって、土手を登ると、桜並木の中にもう競馬場の入場口。 遠くから見えないので、あっもう着いたの?という感じである。
自宅から3時間ほどでの到着であった。


笠松競馬の場内

初めての笠松競馬場の第一印象は”狭いなあ”の一言。
コイン投入式の入り口を入ると小さな広場があるだけでいきなりスタンド。 有名なオグリキャップ像は?と辺りを捜すと、正面入り口と事務所棟の間にちんまりと建っている。
第1レースまでかなり前だというのに既にかなりの客の入りで、しかも結構多くの客が飲食店で飲み食いを始めている。 スタンドに張り付くように飲食店が軒を連ねているが、どこも活気があり、なかなか面白そうな雰囲気。
スタンドを抜けてコース側に出て、コースを概観。
真ん中に鉄塔が立ち、畑が広がる競馬場らしからぬ内馬場。 競馬場の向かいは木曽川堤防で、競馬場全体は結構広く見える。 肝心のコースは前日の大雨で泥田圃状態。普段どんな状態なのかさっぱりわからない。

さて、スタンドの方はと見れば、3つに分かれたスタンドがあるが、既にゴール前スタンドは観客で一杯。 間のスタンドは補強鉄柱が邪魔そうだったので見送り、ゴールから最も遠いスタンドに陣取ることに。 隣にビールで既に出来上がっているおっちゃんもいたが、家族で来ている観客も多い。

場内うろついている間に、窓口で運賃の返金を受け、競馬予想誌を買ったりするが、どこもかなりの人、人。 オグリキャップ記念開催日は笠松競馬場でも特別の日らしいが、それにしてもかなりの入りである。 もっとも施設自体が狭いのでどのくらいの入りなのでさっぱりわからない。


レースの方は・・・

そのうち第1レースが近づく。
笠松競馬場はパドックが内馬場にあるので、スタンドにすわったままでパドックが見えるが、コースを挟んでいるうえ、 この日座ったスタンドは離れているので、見えるといっても姿がわかる程度。
バスでパドックまで運ばれる騎手が騎乗し、パドックでの周回を終えると、各馬はあらためてコースに出て返し馬を始めるが、 珍しなあと思ったのが、コースの外ラチ沿いを走ること。 パドックでは個々の馬がよくわからないので、観客サービスだろうか。 また、ちょっと走ってすぐ待機所に向かう昨今の競馬では大丈夫かというくらい目一杯走っている。
馬券の方は周囲にモニターもなく、全く様子もわからないので、馬券を買うのは見送りに。
第1レースはスタート直後の駆け引きが終わり、しばらく進んだなあと思ったら、 上位は結局そのままの順位でゴール。不良馬場のため、先行した馬が残る展開である。
場内に大型映像装置がないが、ゴール前の激しい攻防もないので、あまり見る必要もない。 うーん、これが笠松のレースか、といいたいところだが、余りの不良馬場だけに正直な話、勝手がわからない。

デジカメで写真をとりながら場内をまわったり、昼飯をはさんで、ぼちぼちと馬券を買う。 また、場内に結構ある予想屋の話を聞いたり、予想を買ったりもするが、全く当たらない。 それほど荒れた訳でもないが、全くの馬券下手で、外れまくる。
レース自体は1R同様どのレースも先行馬が残るレースでやや面白味にかける展開。
園田・姫路から遠征の松浦政宏騎手が結構乗せてもらっていたが、私の戦績同様さっぱりの状態。
場内蒸し暑く、私はビール飲んでばかりで完全にのんびり観戦へ。 場内の店舗はどこも行列、行列で、「どて煮」なるものを食べただけだったのが残念。


オグリキャップ記念

そうこうしているうちにメインレースのオグリキャップ記念へ。
JRAからファストフレンド、マイネルコンバットとGI馬が2頭、地元笠松からミツアキサイレンス、 ハカタビックワンとGIII馬が2頭出走の豪華メンバーである。
個人的には園田の兵庫チャンピオンシップに勝ち、昨年のNRAサラ4歳最優秀馬に輝いたミツアキサイレンスに注目。 先の阪神大賞典は惜しい6着で、中央重賞でも上位の成績を残し、個人的には地方で最も強いのではないかと思っているところである。

さて、各馬厩舎地区から延々と歩いてきたパドックはさすがにスタンドを降りて見るが、それでも遠い。 おまけに内ラチがじゃまで、よく見えない。
そのせいかパドック前もいつものパドックの雰囲気ではない。 カメラ持参の熱心なファンが集まっているという感じ。 私の左右には女性ファンが立ち、これまたいつもと違う。中央からのファンなんだろうか。
パドックの周回を終え、目の前を通るところで、各馬に注目するが、ミツアキサイレンスは2人引きでちょっとイレ込み気味か。 一方の注目馬ファストフレンドは静かな感じ。 とりあえず、前を通ったダイトクヒテンに騎乗する松浦政宏騎手に頑張れよと一声かけておく。

なお、私は4月末に一眼レフカメラを大枚はたいてミノルタα7に買い替え、この日がデビュー。 しかし、レンズの方が28mm〜105mmのズームなので、この日のような離れたパドックではあまり役に立たない。 そのうち望遠レンズも買わんといかんかなあ。
返し馬は先に書いたとおり外ラチ沿いに相当のスピードで走り抜けるので大迫力で、写真を撮る身には大感激ものである。
もっとも、地元馬以外はさっさと待機所の方に移ってしまい、愛想のないことこのうえなし。

注目のレースは、ハナから地元のハカタビックワンが先頭に立ちレースをリード。 大本命のファストフレンド、ミツアキサイレンスは中団で追う展開。
2500mの長い距離をこのままの格好で進み、第4コーナーを回った辺りから場内ざわめき。 これまでのレース同様、先行馬が逃げ切るのか、いやまさか、と思う間もなく、 一気にハカタビックワンが後続を引き離し、楽々ゴール。
結果的にはこの日の馬場状態を読んでの安藤光彰騎手の見事な騎乗といったところか。
ミツアキサイレンスが最後に追い込み、地元馬の1、2位独占と笠松ファンにはこたえられない結果に。 馬券の方も好配当。
ダイトクヒテンは中団を進み、最後に追い込むも6着。 掲示板を逃すも、最近の成績を考えれば上出来で、園田・姫路の馬もマッキーローレル級なら充分勝ちが望め、重賞級でも出て恥ずかしくないレースができる感じである。
なお、馬券の方は、ミツアキサイレンスを軸に何点か買ったが、もちろんハカタビックワンまでは押さえておらずはずれてしまう。


帰路

メイン含めて馬券の方はさっぱりで、7戦1勝。 最終サラのオープンが残っていたが、オグリキャップ記念の表彰式を見て帰路に着くことにする。
場内帰る客は少なく、競馬場を去ると人影がまばら。
帰路は詳しくは省くが、笠松駅からの乗り継ぎもよく、岐阜駅でほとんど待たずに米原行き快速列車へ。 米原で乗り換え、19時前に尼崎に到着。行きと同様3時間ほど。
往復で6時間余と時間もあまりかからず、6000円弱とお金もあまりかからず、最後の最後まで近いなあというのを実感した笠松初遠征であった。