川崎競馬場「第3回リリーカップ」観戦記

川崎競馬場 2001年10月24日開催


川崎競馬場へ

関西の尼崎、関東の川崎。多くの人に同じようなイメージがある都市ではなかろうか。
工業都市、歓楽街、公営ギャンブルの街。はっきり言ってそのイメージはすこぶる悪い。
川崎市は駅前に歓楽街に競馬場、競輪場かっては野球場まで揃った珍しい都市である。
とはいうものの私は川崎には降り立ったことはない。

そんな時、先月に続いて東京に出張することになった。
調べると10月末というのに川崎競馬場でナイター開催がまだやっており、重賞競走もあるというので、観戦に行くことにした。
もちろん今回は園田・姫路競馬からの出走馬はいないが、園田・姫路競馬から全日本3歳優駿に出走したこともあり、川崎競馬場は今後ひょっとしたらまた出走もあるかもしれない競馬場でもある。

都内の仕事が終わって、京浜東北線で川崎駅へ。尼崎とは全く異なる立派な駅。
さて、駅前の地下街アゼリアを抜けたバスターミナルから競馬場行き無料バスが出ているはずであるが、さっぱりバス停がわからない。
歩いても大した違いはなかろうと徒歩で行くことに。
市役所通りを進むが、途中第一京浜から曲がって競馬場に向かわないといけないところをまっすぐ東に歩いてしまい、どんどん暗いところへ。競輪場の方に向かっていたのである。
結局、競馬場南側から東側をぐるっと回って東門から入場するはめに。疲れて入場したのは6時半過ぎで辺りはもう真っ暗になっていた。

きれいなナイター馬場内

競馬場内は広いスペースはなく、すぐにスタンド。
スタンド下を通って観客席にたどりつくとさすがに10月末のナイター競馬ということで観客席はガラガラで難なくゴール前一般席を確保。
コースは1周1200mなので地方競馬でいえば並みだが、奥行きがなく、やや細長い感じ。
私には初めての左回りコースでかなり違和感がある。
馬場内は駐車場と大井競馬場と同様のレストゾーン。珍しいことに、大型映像装置が向こう正面にある。

続いて場内をうろつくとスタンドは先に訪れた大井競馬場より余程新しくきれいな感じ。
ゴール前の1号スタンドのすぐ裏がパドックで随分と狭っ苦しい感じ。出走表は電光掲示板に変わっていた。
スタンド2階と1階辺りに食堂、いや屋台が立ち並んでいる。ここは基本的に立食い、または共有スペースで食べるスタイルのようである。
私はコロッケにビールで一息つける。なんだか縁日のようで和んだ雰囲気である。

ついでに大井競馬場では行かなかった馬場内に向かう。
地下通路を出ると、大きな芝生が広がり、向かいには光り輝く観客席。さらにレストハウスに投票所もライトアップされ、神殿風の趣き。
全体に思った以上に明るくきれいなので驚いた。これなら、夏は客が入るなあと思った。

野次が飛ぶ場内

さて、レース。私は遅く入ったうえ、競馬場巡りでもうやる気なし。

そんな7Rで事件が起こった。1番人気を背負った佐藤博旗手がスタート直後に落馬したのである。場内ため息と怒号。
そして次のレースのパドックでは憤懣やりきれない客が騎手に痛烈な野次を飛ばす。
「馬鹿野郎!これだけだから川崎は八百長ってんだ!川崎競馬、八百長競馬!川崎競馬、八百長競馬!」
それにつられるように観客席からいくつかの野次が飛ぶ。
最近の中央競馬では全く聞かなくなった騎手を罵倒する野次である。
これはかっての園田競馬そのままではないかと、変な意味で懐かしくなってしまった。

メインレース

メインのリリーカップ。
サラ3歳牝馬の重賞レースであるが、フルゲート14頭なのに、8頭だてと寂しい状況。特に地元川崎競馬からの出走が少ない。南関最強のナミが出ていないのに何故かわからない。
世代牝馬No.2で相手に恵まれて初重賞制覇確実と予想紙にあったベルモントオリーブに人気が集まる中、レースが始まると、人気薄の馬が先行しそのままゴール。
またまた人気馬が下位に沈んでしまう展開で、枠連単2万円台の大荒れ。
スタンドからはまたも騎手が下手くそだとなじる観客の姿が。
しかし、今度は騎手が南関いや地方競馬のリーディングジョッキーの石崎隆騎手だから、やはり随分と騎手に厳しい競馬場である。

帰路

最終レースまで見終えて退場。ちなみにちょっとだけ買った馬券の方は全く的中せず。
退場した門は第2入場門だが、こちらの方がメインの入場門できれいで広い入場門だった。

他の観客について駅に向かうと、今度は思いっきりショートカットコースで有名な堀之内歓楽街のど真ん中を抜ける道。
ここでは小料理屋と書かれた店が数多く立ち並び、昔ながらの遊郭の雰囲気。今時こんな所あったんかいなと驚く。こりゃ、女性は歩けんなあと納得。
やがてにぎやかな駅前にたどり着き、大井競馬とは全く違ったディープな競馬場観戦を終えた。

園田競馬ナイター化考

さて、川崎競馬場、雰囲気は園田競馬場に似た雰囲気で余程なじめた競馬場であった。
しかし、実際に行ってみて園田競馬場とは全く立地条件が異なることを痛感した。
周囲は官庁街、繁華街を抜けた工場地帯との中間地。周囲は第一京浜など広い道路ばかり。住宅などは向かいの低層の公団住宅以外ほとんどない。
園田競馬でもナイター開催を、という声があるが、帰りの観客による交通渋滞と生活道路の混雑などを考えると今や住宅密集地の中になったところを大井や川崎と同列に扱うのが無理というものというのが正直なところだった。