小倉競馬場「小倉記念」観戦記

小倉競馬場 2002年8月11日開催


はじめに

ぼちぼちと地方競馬遠征をしている私であるが、中央競馬の競馬場となると、地元の競馬場以外は行ったことがない。
京都競馬場でさえ、園田・姫路競馬のサラ導入により、小牧太騎手、岩田騎手が中央競馬に騎乗するので、応援のために見に行こうかというまで、観戦したことがないという状態で、散々と京都まで車、バイクで行っていたのに、どうやって競馬場に行くのか実は知らなかったというのが事実である。
という訳で、園田・姫路競馬以外の地方競馬場遠征は5場を数えるのに、他の中央競馬はいまだに一つも行ったことがない状態であった。

さて、そんな中で小倉競馬場行きを決定した。
園田・姫路競馬のサラ導入により、小牧太騎手が事実上の中央競馬鮮烈デビューを飾ったのが小倉競馬場である。
やはり、園田・姫路競馬の馬が出走し、騎手が騎乗する競馬場が行くとなると優先である。
幸いなことに、夏競馬開催の小倉競馬場では、2歳戦に多くの馬が出走し、騎手も騎乗機会が多い。
そんな中で、ダイトクヒテンなど古馬が出走するの小倉日経オープンも魅力であったが、小牧太騎手が小倉記念をはじめ全鞍に騎乗する日を観戦日とした。


小倉行

小倉競馬への道のりについては、多くを説明する必要はない。
おそらく、中央競馬の中で最も交通の便がいい競馬場、それが小倉競馬場である。
市の中心である小倉駅からモノレールでたった10分。ややこしい乗り継ぎの行程はない。         

さて、この日はちょうど7時に新大阪発の山陽新幹線のぞみでの小倉入りである。
お盆期間中ということで思い切ってのぞみの乗車。大枚はたいたおかげで車両は快適、わずか2時間での小倉到着である。
小倉には以前に出張で来たことがあるが、小倉駅は、高層ビルのど真ん中からモノレールが出ているという超近代的な駅である。
小倉駅でそのモノレールに乗り換え。一目で競馬客とわかる方々で車内は一杯。
そのモノレール、小倉周辺はさすがにビルが密集した市街地であるが、しばらく走ると緑の多い住宅地の様相。
わずか10分ほどで競馬場前に到着。小倉競馬場前駅、この駅は着くと、競馬場前というより、競馬場の施設の一部。阪神競馬場でいうと正面入り口の前に駅がある感じで、駅から場内に入ると、すぐにパドックがあり、少々驚く。


何と綺麗な競馬場

さて、小倉競馬場。1999年に全面立て替えとなった施設は綺麗の一言。しかし、意外と施設はせまいなというのが第一印象。
指定席はさすがに売り切れていたので、一般席を求めて、場内をうろつくが、冷房のきいた屋内席はどこも一杯。
仕方なく屋外席に出ると、ゴール前を除いて座席はガラガラ。中央競馬でもこんなものかと思う。私はゴール前から少し離れたところに落ち着く。
座席は、一つごとに分かれたシートで、脇テーブルもついているという優れもの。

座席を確保すると、例によってカメラ持参で場内散策。スタンド前の広場は意外なほど狭く、姫路よりも狭いのではと思う。
ただし、大きく違うのは、芝生が植えられていること。特に4コーナー前は大きな芝生広場となっている。阪神でも芝はあるが、芝生席では競馬はほとんど見えない。
コースの方はさすがに中央競馬で広々しているが、京都、阪神に比べるとこじんまりしている。

パドックは入場通路と一体となった円形状の劇場型パドックであるが、中央競馬なのに馬との距離が近いことには驚いた。
テレビを見ていても、随分近そうだなあと思っていたら、現場はそれ以上の感覚で、地方競馬並み。うろうろしていると、1レースが始まった。


さて、競馬観戦

この日の注目は何と言っても小牧太騎手。全鞍に騎乗、予想でも人気上位の馬の騎乗が多く、メインレースの小倉記念には昨年同様に重賞馬ロサードに騎乗である。
今年は岩田騎手に中央競馬での戦績は負けている小牧騎手、ここは一気に爆発を期待するところ。

その小牧太騎手、まず5Rの一番人気馬でこの日1勝目。
そして7R6番人気馬で2勝目。このレースは小牧流しでワイドながら馬券も的中、私もまずまずの状態。
ところが、ここから小牧も私も不調に陥る。小牧は下位ばかり、私も外れ馬券ばかり。
そのうち、天気も怪しくなり、スコールのような大雨が降ったりやんだり。幸い屋根の下ながらのんびりと観戦という訳にもいかなくなってきた。


小倉競馬場風聞記

天気もすっきりせず、蒸し暑い中、ビールを飲んだり、昼飯を食べたりして時間を過ごすが、小倉記念ということで、昼休み時間には、超有名漫才コンビの大助・ハナコまで登場。
場内は、さすがに多くの客で混雑してきた。

さて、混雑の小倉競馬場であるが、ここの特徴はゴール板前広場が完全に観客に開放されていること。
従って、園田競馬場などと同様にゴール板前はカメラ持参客でひしめき合う状態となっている。
また、TV中継で映されるのを期待して、コースとは反対側のTVカメラに向かって目立とうとする連中が多い。この辺りは地方競馬場では見られない光景か。

気がつくと、場内はかなり若い客の姿が多い。阪神競馬場でも若い客が多いが、それでも昔ながらの競馬ファンの姿は結構見られ、コース前でも場内TV前でも、レース中には気合の入った声を出している。
ところが、この小倉競馬場、かなり荒れても静かなもので、怒鳴り声、野次る声などは全くといっていいほど耳にしない。若い大人しい観客ばかりなんだろうか。

そんな中で、私の席の後ろでちょっとしたおばはんとおっさんの座席トラブル発生。
「そこ取ってるんやけど。」
「知らんぞ。」
「取ってるんや。」
「知らんがな。」
「もの置いとったやろ。」
「知らん言うとるやろ。どうせい言うんや。どけ言うとんか。」
「そうや。」
「それやったら言い方あるやろ。どいてくださいとか言えんのか。」
「(嫌味なくらい馬鹿丁寧に)すんませんが、どいていただけませんか。」
「はじめからそう言え。」と”おっさん”が席を譲った。      
そう、おばはんがおっさんに文句を付けていたのである。      
しかし、ずっと見ていたが、このおばはんあつかましくも一人で前後4席以上確保しており、置いていたというレースガイドはことごとく席の下に落ちていた。      
この後でも別の客とトラぶり、悪態をついていたおばはん、あんたは立派です(笑)


小倉記念

さて、いよいよ小倉記念。
その前のレースには、園田・姫路競馬から出走していた馬もいたように思うが、騎手と違って実力は如何ともし難く、下位に沈んだので、よく覚えてない。
いよいよのメインで小牧太騎手もスカッと優勝、私も大きく買って的中といきたいところ。
ロサードは昨年の優勝に続き、連覇なるかが注目。
ところが、肝心のそのロサードは一番人気を背負っていながら、直線で全く伸びず、5着と完敗。小牧騎手の騎乗以前の結果であった。
私は小雨の中、ゴール前でカメラを構えていたのに、後方馬群の中どこにロサードが走っていたのかもわからないような状況。散々の結果に終わってしまった。


帰路

ここで、帰りの列車の時間も迫ってきたので、後ろ髪をひかれながらも最終レース前に退場することに。
あいかわらず、降ったり止んだりのすっきりしない天気の中、天気と同様、どんよりした面持ちで競馬場を後にした。
のぞみで帰宅したのは夜の7時過ぎ。わずか半日の小倉トンボ帰り観戦であった。
実は東京に行くのと全く同じ交通費だった小倉観戦、来年の暑い夏にはまた訪問することになるんだろうか…