大井競馬場 「第35回東京盃」観戦記

大井競馬場 2001年9月27日開催


大井競馬場へ

日本初のナイター競馬であるトゥインクルレースがいち早く導入され、中央競馬同様に一般向けに大々的にPR戦略をうち、地方競馬の中でも独自路線を進んでいる感のある大井競馬。おそらく最も知名度のある地方競馬であろう。
事実、東京発のメディアでは、地方競馬=南関東公営競馬=大井競馬の様相で、“地方競馬”のタイトルで手にした雑誌等は大井競馬の情報ばかり。

さて、そんな知名度のある大井競馬も全くのところ関西在住の私とは接点がなかった。
園田・姫路競馬の馬が大井競馬に出走することもなければ、大井競馬の馬がこちらに来ることもなく、帝王賞、東京大賞典など大きなレースの場外発売すらなかったからである。
また、園田競馬を通じて公営競馬ファンになり、月刊誌ハロンを購読するようになっても、他の公営競馬とは桁違いの賞金額から全く別世界の感さえしていたのが正直なところ。
しかし、たまたま東京への出張があり、当日、ダートグレード競走の東京盃が開催されるので一度足を運んでみるかということになった。

他場とは違う大井競馬場

大井競馬場があるのは羽田空港を利用した人なら誰でも知っているモノレール「大井競馬場前」。
仕事が終わってJR浜松町まで急ぎ、モノレールに乗り、駅に着いたのは夕刻5時過ぎ。
駅を降りると、目の前は厩舎群。駅前が厩舎になっているとは全く知らなかった。

北門から入場し、派手な電飾が輝き始めた通路を通って場内へ。
途中、案内所で競馬場案内パンフ、レースプログラムを手に入れる。さすがに大井競馬場、立派なパンフにレープロである。
次に専門紙売店で予想紙購入。無料入場券付きで、予想紙には予想のスタンプまで押してあり、さすがにサービスがいい。

さて、場内は、でかいの一言。かなりの高さのスタンドが連なる。また、周辺の投票所などの施設もかなりの広さ。

まだ指定席が発売されていたので、一番安い500円の一般指定席を購入し、スタンドへ。
入ってすぐに、結構古めいているのに気がついた。私は甲子園球場のスタンドを思い出した。甲子園球場と同じ様に、建物の中には広い空間のあちこちに売店、飲食店が入居している。
座席の方は、空調のない開放スペースの小さなテーブルのついた席。
買ったところは3号スタンドでゴールからは随分と遠い。また、スタンド円柱が結構気になる。
目の前のコースの方は1周1600mでまたまた広い。他の競馬場では見られない光景。


やはりここはビアガーデンか

さて、いつものように座席を確保すると、カメラを持っての場内巡りであるが、早くも日が暮れだし写真撮影は断念。
一方で、パドックの電光掲示板をはじめ、場内の電飾がきらびやかに。
内馬場は、ジンギスカンも食べられるレストゾーンであるが、まさにビアガーデンの状態。また、スタンドには、この夏からダイヤモンドターンという高級レストランも誕生している。

スタンドの方は、サラリーマン姿の客が次々と座席を埋めていく。
中央競馬と違い、明らかに未成年のような連中は見かけないものの、結構若いグループ観戦の姿が目立つ。みんな納涼がてらのレース観戦。
一方で、昔ながらの古参客もおり、なかなか面白い光景。
私が通路を塞いでいると、「兄ちゃん、邪魔だよ!」で粋のいい下町言葉でじいさんが通っていった。

なお、私はのんびりと観戦。まだまだ暑い時期だけにやはりビールで一息。
次に競馬場案内パンフのグルメガイドを参考に、スタンド内の食堂で夕食を取るが、はっきり言ってあまり美味くない。
場内の観客は多いものの、食堂内は空いており、おっさん連中の姿が目立つ。なにやら住み分けができている模様。

レースの方は、予備知識が全くないので予想紙頼り。私は大井競馬ならではの馬単で購入。
的中するも、固いところで決まり、安い配当ばかり。あんまり儲からない馬単である。


東京盃

さて、GIIの東京盃。1200mの短距離戦だが、今年交流重賞4連勝中のJRAのノボジャック、笠松のレジェンドハンターが出走して、JBCスプリントの前哨戦ともいえる注目されるレース。
とはいうものの、園田・姫路競馬勢の出走はなく、例によって縁のない交流重賞というのが正直なところ。

レースは、スタート後、大本命のノボジャックが出遅れる。しかし、一気に加速し、まもなく上位にとりつき、直線であっさり先頭に抜け出して、そのままゴールの全くの楽勝。2着は古参のワシントンカラーでJRA勢のワンツーフィニッシュ。
よくある交流重賞の典型的なパターンで、地元大井競馬勢はイエローパワーの3着がやっとの惨敗。
大井競馬場は砂質の違いなどからJRA所属馬を始め他場の馬は不利と聞いていたが、そんなことは全く関係がなかった。


退出

最終レースがあったが、帰りの最終新幹線の時刻もあり、ここで競馬場を退出。
終始居心地が悪く、うーん、これがナイター競馬というやつか、というのを体験しただけのような大井競馬観戦であった。
園田・姫路競馬の所属馬がここに来ることはあるのだろうか。