■ 会計処理方法と確定申告
会計処理方法と確定申告について、あらためて整理してみました。

◆源泉徴収について

一口馬主の制度は、JRA⇔馬主クラブ法人⇔愛馬会法人⇔会員の関係になりますが、(1)JRAからクラブ法人に賞金を支払うとき、(2)クラブ法人から愛馬会法人に分配するとき、(3)愛馬会法人が会員に分配するとき、と源泉徴収が3段階で行われます。

(1)の源泉徴収は従来からあったもので、(2)と(3)が新たに課せられたものです。
(1)と(2)の源泉徴収額は翌年3月に会員に再分配されます。なお、ラフィアンは(1)の源泉徴収額を再分配しません。
(3)の源泉徴収額が、最終的に会員へ帰属するもので、会員は、確定申告により還付またはさらに所得税を追納することになります。
会員の源泉徴収といえば専らこのことを指します。

(2)と(3)の源泉徴収は全ての分配金にされるのではなく、利益分配金、すなわちその時点での出資返戻金(出資馬の簿価相当額、減価償却費+維持費+保険料)を超えた部分のみ源泉徴収されます。

基本的には毎月、賞金が分配される度に利益分配金が計算されて、源泉徴収されます。クラブからの明細書はこの流れに沿って記載されているはずです。
源泉徴収額は明細書に記載されており、毎月の金額を合計すれば、年間の(1)と(2)の再配分対象額、(3)の源泉徴収額がわかります。
ちなみに、社台では、(1)と(2)の再分配される源泉徴収額は毎月の明細書にも累積額が表示されています。

一口馬主として重要な話としては、馬の出資金と維持費によって「出資返戻金」、「利益分配金」が算出されるので、出資馬の出資金、年齢やこれまでの賞金累積額によって、同じ賞金を稼いでも、「利益分配金」と「源泉徴収額」は異なることになります。

◆確定申告について

クラブから確定申告時期になると、毎月の明細書を総括した確定申告用書類が送付されてきます。
表示方法はいろいろとあるようですが、 収入(利益分配金)、必要経費(引退馬損失金と年会費)、所得(収入−必要経費)、源泉徴収額、の4項目が必須項目です。

「収入」−「必要経費」=「所得」が20万円を越える場合は確定申告をしなければなりません。
当初は配当金が20万円を超えた場合に確定申告が義務付けと聞いてましたが、「所得」が20万円を超えた場合ということで、賞金で数億円は獲得することが必要となる多数口クラブの一口馬主の会員にとって事実上義務付けは無縁のことかと思います。

源泉徴収されていても、「所得」がマイナスになる人は、確定申告すれば源泉徴収額は全額還付されます。
「所得」がプラスになる人は、「給与所得」などと合わせた「所得」の総額により所得税を再計算して、還付または追納することになります。
なお、源泉徴収額が還付されても、「所得」の総額が増えるので、住民税が増える場合があります。
多数口クラブの一口馬主の会員は源泉徴収されていても金額はわずかなことがほとんどなので、確定申告するかどうかは、個人で判断することになります。例え10円でも還付してほしかったら、確定申告するだけのことです。

用語については、あくまでも税法上の処理で、「収入」や「必要経費」など明確な意味があるので、一口馬主はもちろん世間一般で用いるものと内容が異なるので、そういうものだと理解した方がいいでしょう。

最後に、同じクラブ内はもちろん、複数クラブ内での各馬の収支の通算は可能です。
このいわゆる黒字馬と赤字馬の収支の通算については、一般的なキャッシュフローでの赤字ではなく、引退した時点ではじめて損失額が確定して「必要経費」とされます。
従って、賞金を沢山稼いだ馬がいた年に、引退した馬が少ないと、「収入」が多くなる一方で、「必要経費」が少ないので、「所得」、納税額も多くなることになります。

以上、基本項目のまとめでした。

(2009年2月14日記+修正)