■ 会計処理方法と確定申告
一口馬主掲示板などでは、各クラブから確定申告用の書類が届く前後からかなりの書き込みがありました。

例によって、全く制度を理解していなかったり、しようとしていない初歩的な書き込みが多く、確定申告自体についても、世間に数多くの手続き紹介の雑誌やサイトがあり、これをみればわかるはずなのに、丸投げ質問が多く見受けられます。

私もしばしば意見を書き込んでいますが、頻出ネタについてコメントします。

●源泉徴収されているのかどうかわからない。

利益分配に対してしか源泉徴収されていないのに、全ての配当からされていると思っている人が多く、処理方式が全くわかっていない典型例です。

クラブから送付される「利益の分配の支払調書」に利益分配の支払金額と源泉徴収額が記載されているはずです。
源泉徴収額がわからないというのは、余程見方がわからないのか、そもそも源泉徴収額がないのです。

高額馬では簿価が高いために、少々賞金を稼いだくらいではなかなか利益分配にならないので、源泉徴収額もないはずです。
今になってようやく、馬の出資代金によって、利益分配と源泉徴収額が違ってくることにようやく気がついた人もいるようです。
そもそも、毎月の明細書にも源泉徴収額が記載されているはずで、見ていないか見方がわからないようです。

●収入、必要経費とは何なのかわからない。

やはり処理方式がわかっていない典型例。加えて用語で訳がわからなくなっています。

収入は利益分配金、必要経費は引退馬の終了損失と会費です。
賞金の配当があるのに収入が0や少なくなっていて、おかしいと思っている人が多いようですが、ここでの収入は賞金分配金-出資返戻金です。
普通は経費と考えがちな維持費は馬の簿価に算入され、引退して残っていた簿価が初めて経費扱いになります。
必要経費が馬の終了損失ということで違和感はありますが、決まり事なのでそういうものだと思うしかないですね。

●確定申告する必要があるのかどうかわからない。

確定申告をしたら余計に税金をとられるものとばかり思っているのか、手続きが面倒なのか、確定申告に抵抗感がある人が多いようです。

雑所得が黒字となって確定申告が義務付けられているのは、雑所得が20万円を超えた場合です。
雑所得が20万円というと一口当たり相当の獲得賞金が必要で、多数口クラブの会員をはじめほとんどの人には無縁のはずです。

源泉徴収の還付については、利益分配があって源泉徴収されていて、引退馬がいて雑所得が赤字になっていると、確定申告すれば源泉徴収は還付されるのですが、返して欲しかったら確定申告するだけのことです。

●確定申告したら還付されますか。

最も多い丸投げ質問。会計処理方法、明細書の内容を少しでも理解しようとしてほしいものですね。

基本は別記の通りですが、出資馬によって内容が違うので、これでは全く答えようがありません。
おまけに雑所得が黒字で課税所得となった場合は、その人の本体の課税所得がいくらなのかわからないと、還付か追納かもわかりません。
端的に「基本的には人それぞれ、馬それぞれ」と説明している人がいましたが、全くもって的を射ています。


常々えらそうなことばかり言っていますが、新たにわかったこともあります。
一括支払による馬代金の割引と補償の充当の処理は、社台とラフィアンでは異なる方式となっているようです。

社台では毎月の明細書の説明にもあるように、ともにその馬の出資金の減の扱いになります。
ところが処理方法がわからなかったラフィアンでは今回の確定申告用の書類を見てはじめて、割引はその馬の収入、補償は引退馬の出資金の減となることがわかりました。

このあたりは処理方法がクラブによって違うようですね。
他クラブでは代替馬という制度もあるので、さらに処理が分かれそうです。


さて、月々送られてくる明細書をまともに見ておらず、総括されたものを見て何となく内容がようやくわかったという会員が多いのではないでしょうか。

抵抗感のあった源泉徴収は、そんなに多くの金額が天引きされていないはずです。
源泉徴収されていても、コンスタントに何頭か出資していると、それほど稼がずに引退する馬がいるので、それなりの経費が発生し、雑所得が赤字になって源泉徴収は還付されるでしょう。
また、翌月になれば、クラブ帰属の源泉徴収も再配分されるので、結局はそんなに変わらないという人が多いと思います。

つまるところ、今回の会計処理方式は、一発当たった場合に、ごっそり税金を納めさせられる制度だと言えるではないでしょうか。

(2009年2月14日記+修正)